橋姫蒔絵硯箱
(はしひめまきえ すずりばこ )
江戸時代
カザールコレクション
L20.0

江戸時代後期に作られた硯箱です。蓋表には源治物語の「橋姫」の巻の主要な場面、お忍びでわずかの供人だけを連れ、一面に霧の立ちこめる山道を、宇治橋までたどり着いた薫の一行が描かれています。この硯箱の特徴は、蓋表の中央、川面に組み込まれた水車です。蓋は二重底に作られ、ほどよい量の水銀が満たされています。蓋を手にして上部を起こすと、水銀を用いた仕掛けによって、水車がクルクルと迴ります。こうした機知にとんだ工夫がさなれた技巧に凝った作品は、江戸時代後期の漆工芸の特性のひとつにあげられます。