[重文] 明妃出塞図(めいひしゅっさいず ) (部分) 宮素然
金時代
阿部コレクション
32.0×161.0  紙本墨書
この作品は、馬に乗り、寒風吹きすさぶ北国に護送される明妃の姿を描いたものです。明妃とは漢代の美女、王昭君のことです。漢の元帝(在位49-33 B.C.)は、画工に命じて後宮の女官たちの似顔絵を描かせ、それを見て気に入った女性を召し上げていました。多くの女官たちは自分の姿をより美しく描いてもらうために画工に賄賂を贈りましたが、明妃は賄賂を贈ることを拒んだために醜い姿に描かれてしまいました。その絵を見た元帝は、匈奴(きょうど)の王が妻を求めた際に、明妃を嫁がせてしまいました。この絵に描かれた明妃一行は、こうして明妃が匈奴に向かうさまを表したものです。のちに明妃が絶世の美女であったことを知った元帝は、おおいに後悔し、その画工を死刑に処したと伝えられています。作者の宮素然(きゅうそねん)は、女道士と伝えられています。画史にも登場せず、伝えられている作品もこれだけです。落款には鎭陽宮素然とあり鎭陽宮という道教の寺院の素然という道士であるという人もいます。