江山楼観図(こうざんろうかんず ) (部分)  燕文貴
北宋時代
阿部コレクション
32.0×161.0  紙本墨画淡彩
古来、中国では、大自然を大きな生き物とみていました。とうとうと流れる川は枯れることのない血液を、幾重にも連なった山々はがっしりとした骨を、そして草木は毛を表しています。この図巻は、そうした大自然を、墨だけで描ききった北宋時代の山水画の代表作です。墨はまるで光や色を発しているようであり、樹木や人々の営みの細密な描写も驚くばかりです。燕文貴(えんぶんき 生没年不詳)は、現在の浙江省の人。都で山水画を描いて売っていた時に、宋の太宋(在位976-97)の待詔(優秀な学者をあつめ、皇帝の詔勅の作成をつかさどる官庁の長官)に見い出されて宮廷にのぼり、図画院祗侯(皇帝の御用絵師)になりました。江山楼観図巻は、燕文貴の伝称作品の中でももっとも優れたできばえをしめし、おそらく唯一の真筆とみられる貴重な作品です。